zacki:

自分語り多めのモノローグ twi:@TtZack

「また」透明になってしまったときに。

※樋口円香のプロデュースコミュの多大なネタバレが含まれます。
また全コミュ未読破につき稚拙な考察が繰り広げられます。ご了承の上読んでいただければと思います。

 

 

結崎です。
ノクチル、アツいね。

 

 

普段はこんなこと書かないんですが樋口円香をプロデュースして色々考えるものがあったので久しぶりにpcとにらめっこしています。


シャニマスについての初の文章が大崎甘奈じゃないの中々におかしい。ごめん甘奈。いつか書く。

さて、件の樋口円香なんですが。
口を開けば絶対零度の罵詈雑言、ヘイトと悪意の春一番。空へ飛び立つPチャンに冷水ぶっかけて地面へ叩きつけるレベルのが来たなと。白雪千夜といい最近そんなんが流行りなんか?

とまあ、言ってしまえば「クセが強い」。基本Pチャンにダダ甘な甘奈&霧子Pワイ、初っ端から大困惑でした。

しかしまあ、最悪のファーストインプレッションでも進めていくうちに面白くなってくるのがシャニマスの妙と言いますか。プロデュースを終える頃には割と大きな引っ掛かりを心に残していきました。それをつらつら書いていこうかなと思います。8割妄想です。ついてこれるやつだけついてこい。

 

 


彼女のプロデュースを通してまず引っかかったのは、言葉と行動の矛盾でした。口を開けばアイドルを、芸能界を下に見るような、「トップアイドルなど目指さない」という聞くヤツが聞けば胸ぐら掴みそうな言葉、いえ暴言と言っていいような数々。そもそも彼女はアイドルを志望してアイドルになったわけではないし当たり前といえば当たり前(にしても言葉トゲがありすぎるが)なのですが。

 

 

プロデュースコミュ「バウンダリー」より。
自分のファンだという人達とバッタリ会う円香は、「ファンサービス」をします。アイドルを下に見ているなら、アイドルに本気じゃないのなら、ここで塩対応をしてファンの子達を幻滅でもなんでもさせれば良かった。Pも「自由にやれ」と言っていたし。そうすればアイドルなんて街道からさっさとリタイアできた。でもそうしなかった。そうしなかったばかりかその後レッスン室の鍵をはづきさんに借りていた。

この子、なんだかんだ他人のことを第一に考えてるんですよね。ファンがいるのなら応えようと努力を「してしまう」人間なんだと思います。

 

 

続いて「心臓を握る」より。

円香がほんの少しの本音を露呈するコミュ。心動かされた方も多いと思います。私もそうでした。
「期待なんかされたくない
必死になんて生きたくない」


「自分のレベルなんて試されたくない
何度も……何度も……」


「そんなの私は……怖い……」

 

期待-過去の経験および現在の状況に基づいて,ある対象,現象,事件などが現れることを待ち設けている、いわば行動の準備状態の一種。(ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典)

期待を背負うということは、光栄なことです。自分に賭けてくれる人がいる。自分の能力を買ってくれる人がいる。それは嬉しいことなんです。

でも、少し、疲れます。
期待に応えられなかったら、自分を買ってくれた人を失望させてしまう。
そんな不安は、自分自身を縛る重圧となり、鎖となり。

「期待」は、重いもの。
そして自分から「期待してて」とでも言わない限り、期待は勝手に背負わされがちなものだったりします。円香には、そんな期待に押し潰された経験があるのかもしれません。
そんな思いをするくらなら、最初から背負わなければいい。自分自身を見限って、自分自身を捨てればいい。

でも、「甘い」と、そんなこと出来ないんですよね。
誰かに応えようとして、応えられなかったトラウマを負っても尚、誰かの思いに応えてしまう。応えられるよう努力してしまう。下手をすれば赤の他人の期待どころか、人生すら背負いかねないアイドルを続けて「しまっている」。言葉を変えても、心優しい、いや甘い「性根」は変わらない。そんな不器用で、生きるのが下手な人間。なまじ要領が良く優秀なばかりにそんな生き方がまかり通ってしまっている。それが樋口円香なんじゃないかなと思います。


そもそもプロデューサーに接触した理由が「幼馴染が変なことされてないか確認する」ための女だぞ?樋口円香が浅倉透に向ける思いはおそらく一筋縄ではいかないってのはなんとなく察するものがありますが、「幼馴染」のために普通そこまでやるか?行動の多くが「他人」に依存してると思うんです、この子は。

 

そしてそういうロジックに陥る人間は自己嫌悪に陥りがちです。
二酸化炭素濃度の話」より、円香は「強い言葉を使っている時は、そう思い込みたい時」そしてシーズン4突破コミュより、レッスン室をひっそりと借りて練習していたことを知っているそぶりを見せたプロデューサーに対して「そういうところが、嫌い」


罵詈雑言は強い言葉にカウントされます。そして罵詈雑言というのは、自虐する時は驚くほどスラスラ出てくるものです。
あの絶対零度の刃は、Pに向けるのは勿論のこと、自らをも突き刺しているのではないでしょうか。Pの上っ面な善人ムーヴが嫌い。熱く必死に生きてる様が嫌い。それは自分のそういうところ「も」嫌いだから。なんとなくですが、そんな気がします。そして強い言葉を使う時、往々にして人は弱く見えるものです。(ネタにされがちだがあの愛染の言葉は割と本質だと思っている)
樋口円香は、甘い人間が嫌いな、甘い人間なんだと思います。

 

こんなことを言ったら「安い言葉で全部理解した気にならないでください。同情も共感もただ不快。」とでも言われそうなもんですがね。許せ。

 

さて、過去におそらく何かしらあって「他人に期待する」「期待される」ことを止めようとした、リアリストになろうとした円香ですが、

 

 

W.I.N.Gに優勝してしまいます。

 

 

ここからは、私の世界線の樋口円香の話です。

 

「再び」他人を背負うことで、行くとこまで行って「しまった」んですよね。
これをまとめると、「トラウマの克服」なんですけど。んな安い話じゃねえだろうと。
自分の生き方そのものを変えようとした人間が大きいとはいえたった1回の成功体験でそう簡単に戻れるのか?という疑問がありまして。なんなら「成功させてしまった」とすら思ってしまって。

 

私、1回もオーディションを不合格にさせずに、最初のプロデュースで優勝させちゃったんですよ。トラウマを背負った生き方をもう一度やらせて、1度も負けることなく成功してしまった。勝ってしまった。

私は敗退コミュを見ていません。「風穴」を見ていません。狙って敗北して、見る気にもなれません。
だから、この子が壁にぶち当たったとき、本当に本当に壊れてしまうような気がして。シャイノグラフィと共に"chillout,noctillca"し始めた彼女が、また透明になってしまう気がして。申し訳ないことをしてしまったなと思っています。
「心臓を握る」でそんな問答がありましたね。「そうなったら、諦める勇気を持つまでそばにいる」「一緒に大泣きしよう」

口で言うのは簡単ですが、いざ「本当に大きなハードル」の実在性を認識してしまった時、本当にそんなことでいいのか、「そばにいる」だけじゃ足りないのではないか、と思う自分がいます。そんな場面に直面したら。円香は、私はどうなるんだろう。

 

皆さんもあると思うんですよ。自分の気配りが空回りしたり、やりたいことをやってただけだったのに勝手に変なもの背負わされて、勝手に失望されて。誰でも経験がある事柄に1度殺されたかもしれない子が、もし2度目の死を迎えてしまう時、本当にどうしようもなくなると思うんです。

壇上に上げてしまった責任感みたいなのを少し感じてしまいました。シャニマスのそういう所が嫌いです。

 


長くなりましたが、願いは1つ。色んな「嫌い」が蔓延る樋口円香のアイドル人生に、ノクチルに、どうか空を染め上げるほどの彩りがあらんことを。

 

 

 

 

P.S

急に話が変わりますが、私「とある魔術の禁書目録」が好きで。自分のオタク人生の始まりであり、全巻揃えてて今でも新刊出たら即買いに出るレベルで好きなシリーズなんですが。その中の登場人物に「芳川桔梗」(そんなメジャーじゃないと思っている)というキャラクターがおりまして。

原作では5巻で初登場。打ち止め初登場回で一方通行さんが色々変わるきっかけになった話ですね。

長くなるのでストーリーは割愛しますが、芳川桔梗というキャラクターのパーソナリティに、かなり影響されてるなという自覚があって。

 

「どこまでも甘い、優しくなれない研究者」

-アニメ「とある魔術の禁書目録Ⅲ」公式サイトより引用

 

なんとなく察して貰える節があると思うんですけど。突然の濃度高めの自分語りで恐縮なのですがこの話を読んだのがどえれえ多感な中学二年。昔から優しい子だねと言われ育てられ、良い子に振る舞っていたのですが、段々自分の優しい、否、甘い部分で損をするようになってきた時期でもあり。「優しさ」に対して漠然とした疑問を抱え始めたときに一種の「答え」に行き着いてしまって。

小っ恥ずかしい話ではあるんですが、「優しい」と「甘い」の狭間にいる自分が、「甘い」と「優しい」の間で揺れ動いてるキャラクターに惹かれないはずないんですよね。

 

 


もうひとつ。

 

円香をプロデュースするにあたって色々な感情に襲われましたが、唯一、一目見ただけで「好きだな」と思う瞬間がありまして。


この子、レッスンに成功した時の笑顔がとっても可愛いんですよね。長々と語りましたが、今思えば自分にとってはこれだけで十分だったように思えます。

 


2020/4/9
結崎鰆

担当(SHINY COLORS)
大崎甘奈・幽谷霧子・樋口円香